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Jintec Special Dialog2

ジンテック つなタイ-対談

Let’s Move On!‐先に進もう‐

人と人をつなぎ、新しい価値共創から、幸福を追求する。(ジンテック 企業理念)

Jintec Special Dialog “Let’s Move On!-先に進もう-”は、各分野で活躍する識者をゲストにお招きし、当社 代表取締役 柳 秀樹と共に、これからの組織や社会、世界、さらには人々の生き方や幸福について深く掘り下げ、「本当に大切なもの」を浮き彫りにしていく対談シリーズです。

「皆さんと共に、すべての人が幸福な、新しい世界を創造していきたい。」

私たちはそう願っています。Let’s Move On !

Let’s Move On!‐先に進もう‐Dialog 2

一般社団法人ユーダイモニア研究所 代表理事 水野 貴之 氏
× 株式会社ジンテック 代表取締役 柳 秀樹

■ファシリテーター:株式会社eumo ユーモアカデミーディレクター岩波 直樹氏
■対談日 2021年7月7日 

第2回 Jintec Special Dialogのゲストは、共感資本社会の実現に向けikigai経営を提唱する 一般社団法人ユーダイモニア研究所代表理事 水野 貴之氏。「社員の生きがいを高めることは業績向上につながる」と語る水野氏。企業における従業員の生きがい追及の最先端を当社 代表取締役 柳 秀樹と語りあいました。


社員の生きがいは業績の向上につながる

―水野さんはこれからの企業のあり方としてikigai経営をうたわれていますよね。なぜikigai経営にたどり着いたんでしょうか。

水野最初は、企業における“非”財務情報とは何かを研究するところからスタートしました。その研究の中で“ウェルビーイング”の重要性が見えてきて、その元となる意識構造の定量化などをパートナー企業と共に行動探求していったんですが、リアルな経営に当て込んでいくと「意識構造はすごく進んでいるかもしれないけれど、仕事はできない」みたいな人が多くて、ウェルビーイングだけでは使えなかったんです。そこで、実際に使えるようにさらに突き詰めていき、ウェルビーイングの上位概念である“生きがい―ikigai”にたどり着きました。ウェルビーイングっていうと喜怒哀楽や喜びなど、ちょっとふんわりしていて、お花畑的なにおいになりがち。それが経営者が受け入れがたい要因でもあるんですよね。

柳:わかります。

水野:一方、“ikigai”はインプットとアウトプットの全てを味わい尽くすことで人間力が高まっていくような構造。中にはつらい経験、苦しい経験、悲しい経験なんかもたくさんあるんですが、そういったものを味わい尽くすことでこそ、意識構造の変遷や強みの強化が起きます。結果として我々が「感動力」と呼ぶインプット領域、「自己実現力」と呼ぶアウトプット領域がさらに豊かになって、人間そのものが広がっていきます。こちらの方が、経営にもフィットしやすいんです。

―ウェルビーイング経営で企業にアプローチをしてみたけれども、それだけだと難しかったということですか。

水野:そうです。3年前ぐらいかな。ウェルビーイングや意識構造の可視化をやりましたが、機能しなかったんですよね。

―柳さん、今のお話を聞かれていかがですか。

柳:当社の企業理念には「幸福の追求」という言葉が入っていますが、ややもすると幸福を求めるだけになっちゃうんですよね。幸福になるためにどうするんだとか、なぜ幸福が大事なのかというところが抜け落ちて、幸福を享受したいだけになってしまう。だから、深いところを理解してもらえないと実現は難しいし、機能しないと感じています。ところで今、新たな気付き、学びがあったんですが。

水野:早速ですね(笑)。

柳:当社の理念の「幸福」に「生きがい」という振り仮名を振ったほうがビジネスには向いているかもしれないなと。「幸福」と書いて「生きがい」と読んでいこうかな。

水野:すごく向いていると思います。

柳:貴さんと出会ったとき、最初は非財務情報の話から入っていったけど、どんどんこういった話になっていって。ただ「会社は財務情報が全て」みたいなところってまだまだありますよね。

―今でもほとんどの会社がそうですよね。

柳:財務状況だけで会社の価値は測れないんじゃないかと、ずっともやもやしていましたが、貴さんと出会って「なるほど」ということが本当にたくさんあります。

―生きがいの増大と業績の向上って確実に相関がある感じがしますよね。

水野:間違いなくします。まさに今、その辺の可視化・定量化を目指して動いているんです。それぞれの生きがいを高めた結果、業績にどんなインパクトを与えるようになったのか。今取り組んでいる事例から、3年後くらいには出せると思っています。社員は機械ではないので、Doの裏には必ずBeがある。もしその人がネガティブな気持ちで、いやいや仕事をしていたら、大したDoができるわけがないんです。だから、ikigai経営では、To Doを管理するだけではなく、その裏にあるTo Beをちゃんと支援します。具体的にはそのDoに対して、どんなアウェアネスやウェルビーイングを得たのかを全て可視化させていきます。そうすることで、それぞれの戦略が今どれぐらいその人たちの生きがいに寄与しているのか、あるいはしていないのかが分かるんです。

―面白いですね。うまくいかない原因はTo Beの支援ができていなかったからだったと。

水野:まさに。

―ジンンテックは主体性や自立性をすごく大切にされていますが、To Beの支援のようなことはされていますか。

柳:ちょうど昨日の経営会議で「来期から究極『マネジメント』をしない組織にしていこう」という話をしていました。

水野:管理じゃなくということですね。

柳:そうです。そうです。マネジメントというとどうしてもTo Doを統制することが多い。もちろん必要なことはタスクとして残るものはあるのかもしれませんが、意識の上ではマネジメントをやめていこうじゃないかと。共に伸ばし合い、長期的な視点で考えていきたいと思っています。


自然の3原則は「自由、共生、進化」

水野:われわれは組織貢献の型には“直観型”と“功利型”の2種類あるとみています。直観型は一糸乱れぬ上意下達でバリバリとDoをこなして進めていくようなタイプ。従来型と言えますが、これが今、機能しなくなってきているのは多くの人の共通認識だと思います。機能しなくなったのは、万物の法則から見たときに不自然だったということなんですよね。資本主義の原則は「管理、競争、成長」。だからこそずっとTo Doを管理してきました。でも自然の3原則は「自由、共生、進化」です。管理・競争・成長を否定するということではなく、これを含んで超えていく。これこそがikigai経営の在り方です。

―かなりレベルの高い経営だなという感覚がありますが。

柳:経営をリードする方々の中に「幸福」に対する嫌悪感ってまだまだあると思うんです。だから動かない。これも一つの課題ですよね。

水野:まさにおっしゃるとおりです。結局、経営者を動かすにはデータが一番。定量化が必要です。経営会議はデータなしには予算が付きませんから。「みんな幸せでいましょう」と言うだけでは「それは大事だけれど、業績が下がったらどうするんだ」という話に絶対なります。ですから「なぜ業績が下がるのか?」というところから「このDoができていないからですよね。どうしたらDoができるようになると思いますか」と展開する。そして「社員のBeを支援することで、それぞれがより気付きを得て、強みを伸ばし、それに伴ってどんどん増えていく幸福を見える化していきましょう」と話をすると、ほぼ間違いなく「すぐやりたい」とおっしゃいます。


ikigai経営とは

―ikigai経営の実現に向けて、ポイントを教えていただけますか。

水野:具体的なものの方がいいですよね。われわれはステップ1からステップ8の“個人と組織の成長・進化プロセス”というものを作りました。そのプロセスを実行することで、社員や組織のアウェアネスを高め、意識を変遷させることができます。入り口となるステップ1では、人生を徹底的に振り返ります。目的は、本当の自己を深く理解すること。自分が本当は何に幸せを感じるのか、もしくは感じないのか、何にわくわくするのか。“ikigaiパス”を活用しながら、真の自分を理解してもらいます。われわれは社員やチームを木や森に見立てて可視化しているんですが、これによって、その人の“ikigaiツリー”の原型が立ち上がります。

―まずは自分にフォーカスするんですね。

水野:そうです。ステップ2は“内発的動機付”です。“9ステップ”というワークを通じて自己のコナトゥス、私たちでいうところのユーダイモニア(潜在意識下における人生の目的を実践する幸せ)や本当にワクワクすることにつながります。そしてステップ3。今度は“ikigai人生設計”をしてもらいます。ほとんどの方が退職後のことって考えていないんですよね。「先のことだから」と臨場感を持っていない。目の前のことしかみていないから、仕事が楽しくないと「こんな会社はつまらないし、給料のためだけに働いている」という感覚になっちゃう。ところが「人生を通じて何をやりたいのか」を軸にライフプランを作ってもらうことで「何のために今これが必要なのか」がみえてくるんです。自分の長期的な展望と目の前のあらゆる業務がつながっていること、すべてに意味があることがわかるんですね。

柳:とても興味深いです。

水野:そしてステップ4。今度は“組織戦略設計”です。まだしばらくは経営陣の描くビジョンのもとに働くという風潮は続くと思います。ですから、組織のビジョンに基づく戦略を整理して、具体的な実行プランを作っていきます。どんな戦術、さらにはオペレーションがあるのかを全て整理します。それが終わるとステップ5で“表出化”。いよいよ日々の実践に入っていきます。われわれはあらゆる業務はikigaiの源泉であると考えています。業務中に自分の感情へ意識を向け、それがペインの感情(不安や怒りのような否定的な感情)だったらアウェアネスへと昇華させる。一方、ゲインの感情(喜びや充実感といった肯定的な感情)だったら、それはそのままウェルビーイング、生きがいとして受け止めます。日々、感情を受け止め、表出化していくんですね。アウェアネスまで至らない、例えば「むかついている」というような暗黙知の感情もいつか必ず表出して実となるので、われわれはこれを「ファントムアップル」と呼んでいます。

―感情は生きがいの種ということですね。

水野:まさにそうです。ステップ6は“共同化”です。人間には本質的に共感力が備わっているので、誰かの体験を自分のものとして追体験することができます。ですから、ある人が得たアウェアネスやウェルビーイングをシェアすることで、組織全体、もしくはそれぞれのファントムを顕在化させることができるんです。これを私たちは“ikigai会議”と呼んでいます。そこからのステップ7、“連結化”です。他者のナラティブから自己の新たなインサイトを生み出します。「Aさんがあの体験からこれに気付いたということは、私が感じたあれと同じかもしれない。ということは私にとってもこういうことなんだな」という感じでどんどん連結させていくわけですね。

柳:他者の体験から自分の感情や気づきを表出させ、昇華していくと。

水野:そうです。そして最後のステップ8。“内面化”です。個人と組織、二つの側面がありますが、個人では得た気付きから世界を見る視座をどんどん変えて、日々の業務に活かしていきます。組織は表出化から連結化までのサイクルを回すことによって、一見、何の関係もないと思っていた事象Aと事象Bというのを結び付ける力、解釈力や認識力を自然に身に付け、企業文化を醸成していきます。これがikigai経営です。

―素晴らしい。めちゃくちゃ面白いです。

水野:徹底的に可視化することを意識したんです。ikigaiツリーを作ることで、自分とチームの状態が一目で分かりますから、最適な支援がしやすくなります。生きがい社会では多様な木が互いに共創、協力し合って、それぞれの花を咲かせ、実を付けます。ある木の花は、ある木の実につながります。全体としての生態系が調和され、共進化の道をたどる社会。これを2030年には実現させようと考えています。

―柳さんは今のikigai経営の話を聞かれて、共感される部分、やろうしていることと近いことなどはありましたか。

柳:ジンテックの社員でいる期間は、人生そのものとジンテックで働いていることが多少なりともリンクしています。生きがいを感じながら人生を送っているほうがいいに決まっているから、働くうえでもそうあってほしいんです。そのことを社員ともっと共有していきたい。みんなの理解が深まれば、もっと会社としての力、あるいは個々のパフォーマンスを発揮できるんだと思います。ただ、いきなり貴さんの話をきいてもみんなぽかんとしてしまうだろうから、まずは土壌を作らないと(笑)。いつか会社でもこういう話を聞いてもらいたいです。


ペインの感情こそが人生を豊かにしていく

―現代人はikigaiツリーの根っこの部分である“ペイン”について学ぶべきですよね。

水野:そうですね。

―根が張り巡らされるほどに花や実が増え人生を豊かにしていきますが、ペインが人生の栄養素になるという実感がない。だから会社でつまらないことがあるとすぐ「何でこんなことをやんなきゃいけないんだ」という話になって。

水野:辞めちゃうとかね。

―「全てが人生の果実につながる」ということを意識できているかどうかだけで、対峙する姿勢が変わりますよね。

柳:困難なこと、ペインなことって避けて通れないですよね。そういうものが全くない人生なんてない。だからこそ直面したときに糧とできるかどうかがすごく重要だと思います。どこに行っても同じっちゃ同じ。何度転職をしても全てがそろうところなんてないと思うんです。今いる会社で自分なりの生きがいを見つけていくことも大切です。

―人生の成長のテーマにぶち当たった時、しっかり向き合ってクリアしなければ、どこに行こうが同じテーマが待っています。結局、転職先でも同じテーマのペインを経験することになりますよね。

水野:可視化していくと、まさにそれに気付きます。「あのときやり残していたのか」と。

―これからの課題、もっと進化させたいポイントはありますか。

水野:課題だらけです(笑)。経営に関して言えば、圧倒的に人がいない。とはいえキーネーシス(事業を創造すること)だけじゃなくて、エネルゲイア(従業員の生きがいを最大化させること)を大事にしているので、「これ以上ストレッチさせたらまずいな」というようなところまではやらせません。そういう意味でも、さらに人がいないんですよね。

―ステークホルダーに説いていることを実践されていると。

水野:「お宅のメンバーたちはしっかりと生きがいが得られていますか」と言われちゃうと(笑)。あとは、サービスの進化が早すぎて、今までは1年に1回ぐらいだったクォンタムリープが、下手したら毎週1回ぐらい起こる。なので、説明する資料を作るのが追い付かないんです。

―作っているうちに次に行っちゃいますもんね。

水野:今回のような機会があると、整理にはとてもありがたい一方、次にお会いするときにはこれではないものになっているはずです(笑)。

―柳さんはジンテックのいいところ、もう少し力を入れていかなきゃいけないところをどのようにみていますか。

柳:お客さまへの貢献を大切にしていると、「ありがとう」とか「助かった」という喜びの声や、ジンテックのサービスでこういうメリットがあったというフィードバックをいただく機会が増えて、それによって成長を実感するメンバーがいます。その好循環はすごくいいと思います。一方、幸福という状態だけを求めるようなところもまだ見受けられるので「幸福に向かって何をすべきか」を考えてくれるといいですよね。「だから今このペインがあるんだ」とか「マイナスがあるからプラスもあるんだ」という意識になってくれるといいなと思っています。


徹底的に可視化していく

水野:私たちは発達心理学とポジティブ心理学を統合し、精神意識の構造を10段階に分類する“意識構造変遷モデル”を開発しました。ikigaiパス診断によってその人が今どこのポジションにいるのかを可視化することで、適職や支援法を見つけることができますし、チームの意識構造の分布を出すこともできます。

―人によってポジションが違うということですね。

水野:そうです。また、先ほどもお話ししましたが、組織貢献については直感型と功利型の2つにわけることができます。直感型組織は道徳的でルール重視という点では儒教的な経営ともいえます。世の中でホワイト企業と言われているところのほとんどは直感型です。一方、功利型組織は社交的でインタラクティブなコミュニケーションが特徴。能動的でフラット、風通しがよい。ただ、日本企業ではほとんど見受けられません。どっちがよいとか悪いではなくて、型が違うということです。これも可視化ができます。


生きがいの志向 フロー、へドニア、ヒュッゲ

水野:生きがいの志向は“フロー族”、“ヘドニア族”、“ヒュッゲ族”に分類できます。これは少し前に新しくできた概念なんですが、それぞれ生きがいの求め方、喜びの志向が異なります。フロー族は無我の境地で心躍る対象に没頭することを好み、未知のことを見出すことなどに一番生きがいを感じる人です。へドニア族は社会的な地位など、自分自身の価値を高めることに喜びを見出す人。ヒュッゲ族は仲間や家族とゆったりと過ごすことが最高の幸せで、そこに生きがいを感じる人々です。これもアルゴリズムで可視化できるように作ったので「ある部門では能動フローの高い人、ユーダイモニアが高い人は〇〇族が多い」といったことが分かります。例えばあるチームにおいて「ユーモアウト(ikigaiの一部である夢や情熱といった人生を輝かせる「自己実現力」の究極的な体現)しているのはフロー族が多く、ヘドニア族がいない」ということが分かった場合には、ヘドニア族がユーモアウトしにくいジョブディスクリプション、環境であるという可能性がみえてくるわけですね。

柳:とても面白いです。

水野:マネージャーが違う族のスタッフに対してどんな支援をしたらよいのかなども提案が可能ですし「ジョブディスクリプションを見直していきましょう」といった具体的な支援もできるようになってきています。

―さきほどの成長進化プロセスと両方やっているんですか。

水野:どっちもやっています。成長・進化プロセスは表に見えるオペレーション側の話ですが、ジョブディスクリプションの見直しはマネジメントと今後の人事戦略について話をするときに使っているもの。一般のスタッフは見ません。今どの部が、どの人がどのぐらい伸びていて、どれくらいウェルビーイングがあるのかということが見て取れるようになってきています。これがマネジメントに向けたikigai経営の支援です。これも面白いでしょう。


全てのことには意味がある

―世の中の流れに話を戻すと、企業の存在目的が大きく変わってきていると感じています。経済合理性を無視するわけにはいきませんが、社員の幸福、生きがいに向かって動いていっている。柳さんは昔からそう感じていたんですか。

柳:強く意識しだしたのは、10年ちょっと前ぐらいからですね。私も効率化重視のPL脳で突き進んできて、マネジメントだ、To Doだという世界にどっぷりといましたが、だんだんとワークしない感じに気づき始めて。そこからいろんな人との出会いがあって、少しずつシフトして、今にいたります。直接的な回答で言えば経営を引き受けたときに、従来のやり方が通用しなくなってしまったことが一番のきっかけですね。

―機能不全を感じていても方向転換できない経営者の方がたくさんいらっしゃいますよね。ジンテックの経営を参考にしていただきながら、そういった経営者の輪が広がっていくといいなと思います。水野さんはいかがですか。

水野:われわれの世代はごりごりの直観世代なんですよね。そして今、経営を変えようと旗を振っている人たちは、元直観で今は功利の大切さを認識している人たち。いろいろやった結果としてバランスしている経営者がとても多いなと感じています。だから、最初から功利経営者で、本当にうまくやっている人ってほとんど見たことがない。直観という根っこはあるけれど、上意下達で管理するのをやめて、功利で動いている経営者の方がうまくいっているように感じます。多分、両方とも大事なんですよね。

―経営者の器というのはそうやって鍛えられるんでしょうね。

水野:本当にそうだと思う。

―水野さんも若いころはお金を求めていろいろなことをしてきたんですよね。その中で「やっぱりそこだけじゃない」というところにたどり着いた。

水野:昔はごりごりのヘドニア族で、世界一の権力者になろうと思っていたんです。でも、首尾よくその世界が見えてきて、そこの住人と付き合うようになったら「何てつまんないんだ」と思って。だったら新しい社会を自分で作るしかないなと。ただ、当時の私はものすごい正義調和型で「こういう社会でなければ」「世の中は平和じゃなきゃいけない」と正義を振りかざし続けていて。14年ぐらいは苦汁を飲まされました。「全部意味があったんだ」というところにたどり着いたのはこの5年ぐらいかな。「一見悲惨な出来事も実は全て進化につながる意味がある、ペインなんだ」ということが分かって、一気に肩の力が抜けました。人のため、社会のためと思っていたけれど、本当は自分のためにやっていたんだということに気付いたことによって、何にもとらわれずにフォーカスできるようになったんですよね。今は自分の最高の生きがいのためにやっています。

―本日のお二人の話を聞いて、読んでいただいた皆さんも追体験をして、人生を広げてもらえたらと感じました。まさに共同化です。今日はありがとうございました。

※感染対策を十分行った上で対談・撮影しております。


【対談パートナー】
水野 貴之氏
思想家、発明家、株式会社ユーダイモニアユニバース代表取締役、一般社団法人ユーダイモニア研究所代表理事

ネットエイジ社長室室長執行役員、三井物産、TBS顧問、東南アジア、中東、欧州でプライベートエクイティ、ファミリーオフィス、ヤフー社長付、会長付を経て現職。

1997年より共感資本社会の創造を構想、社会関係資本を可視化させる電子マネーを発明、特許取得。企業のステークホルダーバランスを可視化させた新経営指標「CRV(Corporate Resonant Value)」を発明。人間の幸福度や成人発達段階を可視化定量化するアルゴリズム(eumoグラム)を発明した。
また、人の半生を徹底的に振り返り、意識構造、強み、タイプ等の個性を可視化定量化するサービス”ikigai path”, “ikigai finder”を開発し、独自に理論化したikigai経営理論及びその実践支援に活かしている。

【ファシリテーター】
岩波 直樹氏
株式会社 eumo 取締役 ユーモアカデミーディレクター
株式会社 ワークハピネス Co-Founder
一般社団法人 ユーダイモニア研究所 理事

大学卒業後、富士銀行(現みずほ)入行。2002年ワークハピネスを共同創業。組織開発、人材開発を専門領域に現在も活動中。2017年社団法人ユーダイモニア研究所を共同発起人として立ち上げ、理事に就任。ポスト資本主義等の次世代社会システム創造の研究と実践に取り組む。2018年11月~2019年6月、内閣府知財戦略本部価値共創タスクフォース委員に就任。大企業のオープンイノベーションおよび新たな時代の社会創造についての知見と具体的アクションを促進する報告書をまとめる。2019年株式会社eumo立ち上げに参画。同7月取締役就任。人間性の発達や認識の拡大をもたらすためのeumo Academyを設立しディレクターを務める。

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