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【変化への対応力を磨く:自衛隊式マネジメントから学び、図上演習で進む】第2回 図上演習の紹介(ジンテックの事例)

合同会社セルフディフェンスパートナーズ コラム

はじめに

Jライブラリーをご覧の皆様、こんにちは!

記念すべき第1回となった前回は、自衛隊式マネジメントスキルは教育と図上演習とで育成されることをお伝えし、実際に取り入れているジンテックでの研修についてご紹介させて頂きました。

今回は、さらに詳しく図上演習の内容について紹介していきたいと思います。

ジンテックでの取り組み 図上演習(経営層、社員)

ジンテックでは経営層はターン制、各事業部はリアルタイム制に分けて図上演習を行いました。

ターン制とは、時間を区切って事態を進行させる方法です。プレイヤー(参加者)は、

起こった危機事態に対し様々な観点から分析・検討し、最適解を構築していきます。これには2つの狙いがあり、1つは社内規定、特に意思決定プロセスにおける課題抽出です。もう1つは経営メンバーの相互理解です。分析・検討の過程において経営メンバーそれぞれの考え方が示されることで相互理解が深まり、対処方針が統一され、より複雑な事態における意思決定が迅速となります。

リアルタイム制とは、現実の時間と同じスピードで進行していきます。これは、各部門ごとの手順の定着やチームワークを鍛えることが主眼となります。対処の成否によりリアルタイムに状況が与えられることで、緊張感や情報の錯そう等、リアルな環境下で「今まさに起きている」と感じてもらうことを狙いとしています。

(1)経営層への図上演習(概要)
 ・訓練参加者:各事業本部長
 ・統裁部:柳社長、CHRO、弊社西田、姉崎
 ・演習テーマ:主要サービスの不具合(ターン制)

(2)社員への図上演習(概要)
 ・訓練参加者:各事業部メンバー
 ・統裁部:担当事業本部長、CHRO、弊社西田、姉崎
 ・演習テーマ:下記の内容(一部抜粋)(リアルタイム制)
    ◆営業部門
  ・不良な納品物発生時における対処
  ・提供ソリューションの不具合発生時における対処
 ◆技術部門
  ・サービスシステムの障害発生時における対処
 ◆管理部門
  ・メール誤送信(情報漏洩)

より具体的にイメージしていただくため、シナリオをお見せしましょう!

危機シナリオと評価基準は業務ヒアリングを基に作成し、シナリオに沿った状況を付与し、対応を訓練・評価していきました。

あらかじめ作成しておいた評価基準に基づき、チーム活動を評価します。この評価を踏まえ、各部門やチーム内の課題の抽出を行い、対策を策定していきます。

同じ状況設定を与えた場合でも、チームにより結果は一様ではありません。
リーダーのリーダーシップメンバーのフォロワーシップの違いによって、チームの行動や評価が大きく左右されるからです。

図上演習では、こうした日頃の関係性やチームダイナミクスが可視化される点に、大きな意義があります。単にシナリオをなぞるのではなく、実際の組織の強みや課題が浮き彫りになるのです。このようなプロセスを経ることで、組織は教育・訓練のサイクルを回しながら強化されていきます。
 訓練の目的は、

・「対処能力の向上」
・「マニュアルや手順の妥当性の見直し」
・「平素から危機時までの良好なチームビルディング」

の3つです。

だからこそ、図上演習は単なる訓練ではなく、組織強化のための極めて重要なステップなのです。

最後に

ジンテックのように、地域金融機関や通販、カード会社、生損保といった機微なクライアント情報を取り扱う企業にとって、万が一の不具合時にいかに顧客への影響を最小限に抑えるかは、極めて重要なテーマです。

日頃からの万全な運用に加え、いざという時の判断・行動を磨く図上演習は、まさに組織の「実行力」と「対応力」を高める有効な手段です。

図上演習は単なるシミュレーションではなく、組織の力を可視化し、鍛えるための実践の場です。
組織力の向上を考えられている企業の皆様には、ぜひ一度ご検討いただきたい取り組みです!

次回テーマ
第3回  企業活動とリーダーシップ(前編)
     強い組織とリーダーシップについて

※本内容の引用・転載を禁止します。

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